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いい本の探し方
今回は、私流の「いい本」(一般的な「良書」といういい方はキライなのでこう呼ばしてもらう)を手軽に探す方法をちょっとだけ公開してみようかという趣旨なのである。
いい本=良書ではない。
辞書によれば良書とは「ためになる本」とあるが、私にとってのいい本とは「自分が興味を強く惹かれる本」あるいは「自分が夢中になれる本」である。
そんなわけで、いい本といってしまうと、プログラム関係のテクニック本なんかもその部類に入ってしまうのであるが、今回は技術本は範疇に含めない。
以下今回のエッセイでは、この狭義のいい本を「面白本」と呼ぶことにしたい。
ただし今回の面白本の探し方は、すぐれた技術本を探すのにもそのまま使えるはずだ。
第一に、自分は明らかに面白本だけを選び分けて読むタイプである。
しかもそれを順繰りに繰り返し読むタイプなのである。つまり面白本収集癖がある。
繰り返し読む理由は簡単だ。面白本だけを買いあさりたくても経済的に許されないから、かき集めた分だけを繰り返し読む事になるのである。
ジャンルとしては、旅行記・料理本・エッセイ・社会派小説・ドキュメンタリー・SF・美術・コミックなどで、それ以外の歴史・哲学・政治・経済関係書は全く読まない。
そんな私にとって面白い本が、他人にとって面白いものなのかといわれれば、限定付きでそうであるはずだといえる。
限定付きだというのは、私が面白いと思う本はコメント欄などで多数の読者からいい評価を受けているものが多い。一方で、一般に書評家(濫読家)らしい方々からはあまりいい評価が得られないことも多いのは事実である。
だが私にとっての面白本は、一般にインターネットなどで「素晴らしい本」と評される本であることが多いのも確かなのである。
だから私の探し方は、一般的には非常に有効な手段だと思って入るであるが...
私が絶対に読まないパターンは、ただ単に文字を書き連ねただけの句読点や改行がほとんどない、読みやすくするための校正が全くされていない本である(生原稿はページ単位に区切る編集というものがあり、このため校正の全くない本というものは存在しない)。
例外はあるのものの、この書き方をしているもので、内容の濃いものに出会ったためしがない。このタイプは、初めの20ページくらいをパラパラめくるだけで判別できる。
しかし、濫読家諸氏の多くはこのタイプの本を好んで読むようだし、どいういうわけか彼らのこのタイプの本に対する評価も高いようだ。
このタイプの本は、主に書き手が次のような場面にあるときに起こるようである。
まず書き手が学者である場合。一般に学者先生は、文章中に自分の言いたいことが書いてあるかどうかが問題であり、一部の例外を除いてそれがどのように書いてあるかまでは気にしない。読み手が理解できなければそれはバカの証拠であり、自分のせいではない。
次に、いいたいことが山のようにあって整理が付かず、とりあえず思いつくことを書き並べてみたが、紙面の制限でその中に入るだけ入れてみた、というパターンである。
最後に、入稿が大幅に遅れたとかいうような理由で、印刷の関係から、いい加減な生原稿に読みやすい校正ができなかったというような場合である。
学者先生が自分のいいたいことが書かれていれば、その表現方法を気にしないように、濫読家は内容がどのように書かれているかは気にしないようだ。
彼らは、自分の欲っしている内容が書かれていればよいので、その結論に達した経緯や雰囲気とかいったものは、内容の装飾としてむしろ排除されるべきと考えているようだ。
だから、その経緯や雰囲気を伝えることをメインにした文章は、チャラチャラした内容のないものと映るようである。
では逆に、一般に「面白本」とされる本は、どのように目星を付けたらいいのだろう。
全てがそうとは言い切れないが、要は読みやすく校正されている本を探すことである。
つまり文章の練り直しを行って、よりよい表現に近づける作業をした本を探すことだ。
しかし校正をしたからといって、必ずしもよくなるとは限らない。校正した結果、ある点はよくなったが、微妙な雰囲気が損なわれたなどということはよくあることである。
だが通常は、そうなるよう努力をした文章とないものでは、雲と泥くらいの差がある。
さて、その校正済みなことをどうやって知るか、これはざっと3つの方法がある。
1.章立てされている本を探す。
2.章立ての中にコラム等やコメントが挿入されてるいる本を探す。
3.なるべく多くの絵の入っている本を探す。
1.の章立てされているものということは、紙面が制限を受けていることを示す。
だから、内容を吟味しないと紙面に入らなくなってしまうはずだ、という理屈だ。
2.は1.よりもキツイ。章立てよりも小さく制限された中で、テーマに沿った内容を効率よく伝えなければならないからだ。校正なしにはほぼ不可能である。
3.はもう、これは子供の絵本の世界のようであるが、実は違う。
絵が挿入されることで、文章を回り込ませなければならなくなる。さらにその絵に説明を加えなければならなくなる。説明文には勢い厳しい制約がつけられるであろう。
しかし、例外はある。
生原稿で必要とされている分だけ章やコラムを作れば校正の必要はなくなるし、絵への回りこみはワードなどで簡単にできる。絵ではなくて、スナップ写真などだと最悪だ。
絵はメッセージ性が必要なものが多いので、入っていることはほぼ校正されていることの証明になるが、写真の場合は校正済みの証しにはほとんどならないということである。
絵ではなく写真の場合は、詩的な表現をしたがる本が圧倒的に多い点にも注意が必要だ。
書店や図書館での、実際の探し方というのはこうだ。
まず20ページくらいめくって、句読点や改行が存在する文章であることを確認する。
その際に、章立てやコラムや挿絵のある文章であるかどうかを確認する。
次に5行くらいを選んで読み、文章の中で流れが重視されているかを確認する。
最後に、内容が自分にあっているか、文章の量が適当かなどを確認する。
全てが満足されていれば、お買い上げもしくは借り出しということになる。
慣れれば、ここまで1冊30秒くらいでできるようになる。
こうして求めた本が本当に「面白本」である確率は、85%〜90%くらいである。
残念ながら、ここまでやっても100%近くにはならないのだ。
よく読んでみたら、内容や文体、テーマに対する著者の姿勢などが自分に合っていないなかったなどということが、5冊に1冊くらいの割合であるものだ。
とりえず、まずは騙されたと思って図書館でお試しあれ。
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