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もっているだけで幸せになれるというものがある。
この類のものは、特に常日頃使っているというわけではなくとも、たまに手にとって眺めているだけで幸せになれるもののことである。
どんなもので幸せになれるかといえば、それはそれ、本当に人それぞれであろう。
自分などは所有欲が強いので、そいういったものはずいぶんとある。
自分にとって、いわゆる使い勝手のよいものは、それがハードウェアのソフトウェアのと限定しなくとも、おそらくそのほとんどがそれに値する。
だが持っていると幸せになれるもので、かつ使わなくともそれを感じられるものということになると、ある程度範囲が狭められるのではないかと思われる。
自分の場合、買ったけどあまり使われないで、単に所有しているだけで安心してしまうものの代表は"書籍"ということになってしまうのだが、それについて語るのは別の機会にゆずるとして、今回はその"書籍"と同系列の類、文房具あるいはステーショナリーといったものにスポットを当てたいと思う。
自分が文房具に特別な興味を抱く人間であることは、すでに低価格万年筆「プレピー」や100円ショップグッズを取り上げていることから、容易に想像がつくと思う。
きっかけは、100円4色ボールペンだった。黒色のインクがなくなったので、何年かぶりに100円4色ボールペンを新規にすることになったのである。
自宅には4本の買い置き4色ボールペンがあったのだが、使ってみるとなんとなく書きづらい。インクが滑らないというか、妙にペン先が重い。長方形などを書いていると、角などを書くときにインクがかすれていうるようでもある。
残念なことに2本1セットで2セットある4色ボールペンすべてが、ペン先が重いかかすれるかしている。値段のせいもあるかもしれないが、どうやらこのボールペンは買い置きに向かないようだった。
しかたなく100円ショップに向かうと、ラッキーなことに全く同じタイプのものが店頭で売られていた。速攻で入手する。だが、買い物はこれだけで終わらなかった。
なにげに隣の文房具屋さんをのぞくと、uniの色鉛筆シャープを売っていたのである。
実は、色物アイテムにはあまりいい思い出がない。各色があるボールペンで消せるものは何回か買ってみたが、消せることに重点を置きすぎるせいか、まっとうに書けないものであることが多い。
色がたくさん用意されているかどうかという点は一般に問題ではなく、書いてかすれないか、ペン先の滑りがどうか、ブチないかといった点のほうが問題になることが多いのだ。
このときは何を思い立ったのか、色鉛筆で書けるという点に惹かれてしまったのだった。
たしかに、色鉛筆は日頃準備してある。
だが準備してあるのは、いわゆるお子様用ペン先交換色鉛筆であり、ペン先も太いがペン自体も太い。早い話が実用に耐えるものではなく、あくまでお遊びアイテムだ。
それが心の中で日頃くすぶっていたせいか、店頭で見た瞬間、シャープペンで色鉛筆が使えるというアプローチに飛びついている自分がいるのだった。
赤だけなら、同じuniの赤色替芯を購入したことがあった。だが色が薄く、しかも赤だけしか用意されていない点が気になって、ずっとペン入れの中で眠ったままになっていた。
そのことがあって、今回はちゃんと店頭で実用筆記に耐えるか否か試し書きを行った。その結果、青は薄くて硬い書き味だったが、替芯のほうは鉛筆と同程度の濃さで硬すぎるような書き味でもないことが判明した。他の色でも同様のことがいえるようだった。
気づいたら、100円の買い物をしに行っただけなのに、赤・青・緑・橙の色鉛筆替芯専用シャープペン105円4本とその替芯10本157円各色を購入していたのである。
家に戻ってそれぞれの書き味をもう一度試す。なかなかの書き味だった。なによりも、線の重ね書きのよさとか、間違ったときに消せる安心感といったものがある。これまでの4色ボールペンとは、一味違った書き方ができることがわかって嬉しくなってしまった。
ところが、今回の文房具購入作戦はこれだけで終わらなかったのである。
一般にペンケースには何本程度のペンが入れられているのか? 実は今回購入した分のペンが、普通のペンケースに入りきらないことがわかったのだ。必要な容量は6本くらい。
そんなわけで、通販で6本くらい入るペンケースを探し回っていたら、ポケットタイプのペンケースで、使わないときにグルグル巻いておけるペンケースを見つけてしまったのだ。一般にロールペンケースといわれているものらしい。
なんというか、普通のプラスティックケースにはない趣がある。素材には、スウェードとかジーンズ地とか革とか、いろいろと選択肢があるようだった。
だが、いい素材のものは値段もそれなりだ。ネットで見る限り、8000円くらいのものは普通のようだ。
サイトをながめているあいだに、自分の中でロールペンケースは完全にマストアイテムになりきっていたのだが、メーカーものはどうあがいても手が出せない。1000円以内、できれば100円ショップでロールペンケースがないものか。
「安価」、「それなり」、「文房具」でひらめいたものがあった。「無印良品」だ。
速攻でサイトを開いて、文房具のところを探す。あったのだ。布製ロールペンケース、7本入り。値段はわからなかったが、5本入りは630円。これである。
翌日電話で問い合わせるとそのショップでは、ベージュ色の7本入り布生地製ロールペンケースが630円で販売されているという。それは、ペンケースの右端真ん中に黒の糸ゴムが付けられて、ペンケースを海苔巻きを作るように巻いてからその糸ゴムの輪を引っ張ってケースをくぐらすようにすると、ケースを巻いて閉じておけるという代物であった。
サイトで見たやつはグレイだったが、手にとってみるとベージュもなかなかに渋い。なによりも、黒の糸ゴムがアナクロだった。
ここでも速攻購入して、色鉛筆替え芯専用シャープペンと4色ボールペンを挿してみる。なにか実際に使わなくとも見ているだけでホッとする、布地の質感と筆記具の整然さの調和が、そこにはあった。
文房具に興味をお持ちの方々、筆記用アイテムにお試しになられてはいかが?
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