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MP3 320Kbpsは256Kbpsよりよいか? それともロスか?
こんなこと、やらなければよかった。
やったあとで後悔した。
これまでに貯めたライブラリをどうするか、という問題が出てきたからである。
それくらい、上位フォーマットの音が違うのである。
読者諸氏、この先を読むか否かは、よくよく考えてからのほうがいいだろう。
絶対に人生観が変わる。
「間違っているのはお前だ!
そんなことはないはずだ。俺が試してやる」という方。そう、試してみたくなる。
ほら、そんな気がしてきたでしょう。
でも、ほんとのことなのです。試してみれば、わかります。
では、本題に入ろう。

結論から言うと、MP3−320Kbpsの世界は、MP3−256Kbpsとは別の世界である。
ロスレスの世界も、MP3−320Kbpsとは別世界である。
今回こんなことを試してみたのは、前々から思っていたことではあるが、「MP3−256Kbpsは音が沈み込んで、音像が前に出てこなくなる率がかなり高いのではないか」ということを思い知らされていたからだ。
初めは納得して聴いていられるのだが、そのうち音に飽きてしまうのだ。
曲に飽きるというよりも、音がつまらならくなるから聴かなくなるということが多かった。CDを購入したときの音の感動がなくなるのである。
ずいぶん長い間、これは曲に飽きるからなのだと自分に言い聞かせてきたが、どうも違う。次第に引っ込んだ(沈み込んだ−エッジのない)音に耐えられなくなるのである。
MP3−256Kbpsの音の最大の特徴は、
   ・あまり音の重なり合った音でない限り、他のフォーマットの同等のビットレートに比べてかなり情報量が多い。
   ・複雑に音が重なった音では、各音を再生しきれなくなる。
   ・上位ビットレートと較べると、ボーカルをはじめとして音が沈み込む(原音からエッジが取れる)。
という、特徴がある。
ちなみにWMAフォーマットは、
   ・他のコーデックの1ランク低位のビットレートで、同等程度の音をだすことができる(といわれている)。
   ・よって、同じ音ならば1/2のファイルサイズにできる。
   ・原音に較べて音が硬くなる(音が変わってしまう)。
   ・上位のビットレートを選択しても圧倒的に情報量が多くなるとはいえない。
などの特徴がある。

試聴システムは、
   ・自宅のメインコンピュータ(Celeron2.53GHz)
   ・クリエイティブの「SB−DM−PXV(サウンドブラスター)」
   ・SANYO「primaire」(15年前のラジカセの名機)
   ・使用ソフトは、ソニックステージ4.3
   フォーマットとサンプリング周波数は、
   MP3−320KbpsとATRACアドバンスロスレス352Kbps(以下ロスレスと称す)
である。
はっきりいって、あんまりいい環境ではない。
「やっぱり、ヘッドフォンでの試聴にしようか」と思ったくらいなのである。
だが、「もしかしてこのシステムでも音の違いがわかるかもしれない」と思って、ダメもとで、ヘッドフォンは使用しなかった。それでも違いがわかったのである。

今回試聴に使った曲は、
   ・MONKEY MAJIKの「ただ、ありがとう」
   ・THE LOOSE DOGS(feat.大黒摩季)の「雨のち虹色」
だ。
「ただ、ありがとう」は、大ヒット曲ですばらしいメロディラインが特徴。そのなかで、ボーカルの重なり具合やギターエッジが冴えた曲だ。
「雨のち虹色」は、これも大ヒット曲でかなり音の重なり具合が複雑な曲だ。率直に言うと、MP3−256Kbpsでは音が沈みすぎて、かなり苦しい曲だ。

では、具体的にどのような音になるのであろうか。
普通、バスブーストを使用すると低音楽器のアタック音や、減衰までのニュアンスががなくなるものだが(自宅のSANYOは常にバスブーストで使用しているのだ)、320Kbpsやロスレスでは違う。
ちゃんとアタックから減衰までが、音として再生されるのである。
フォークギターのエッジが目に見えて違う。シャシャとなっていたものが、ジャッジャッとなるようになる。ほとんど別の音である。
バスドラムやベースの音が手に取るようにわかるようになる。低音であるにもかかわらず、アタックから消えて聴こえなくなるまでの音が完全にわかるようになる。
ボーカルが前に出てくる。
などの音になるようだ。
世の中、「そんな音の違いがわかるとか言うやつはヘンタイだ」という人もいるが、気にせずに話を進めることにする。

「ただ、ありがとう」は、MP3−320Kbpsでも、相当に感動ものだ。かなりな部分で、原音のギターのエッジを再現できている。
「これならば、ロスレスは必要ないかもしれない」と思ったのであるが、ロスレスで再生して驚いた。MP3−320Kbpsの3倍くらい音が前に出てくるようになる。
MP3−320Kbpsで聴こえない音が聴こえる。ストリングスが特に素晴らしい。はじめはボリュームのせいかと思って音量を下げたのであるが、音を下げてもエッジが立っている。ボリュームを半分にしても同様だった。ロスレスの底力を思い知らされた。
「雨のち虹色」はどうやらMP3−320Kbpsでもかなり苦しい。音が重なり合った部分では、やはり音が伸びないで沈み込む。MP3−320Kbpsを標準にできるか判断する重要な材料になりそうだ。
ロスレスでは再生音に伸びが出て、ストレスなく音が前に出てくる。
このくらい音が重なる曲をそつなく再生するには、現状ではロスレスしか選択肢はないようだ。
MP3−320Kbpsとロスレスの間の選択肢があればいいのに。
「だったら、ATRACの352Kbpsを試せ!」というご指摘もあろうかとはおもうが、後々のことを考えて、できるだけ標準フォーマットで記録したいのだ(単に今回は時間がなかっただけです、すいません。まあ、ATRACアドバンスロスレス352Kbpsのどこが標準なんだというご意見もあろうとは思いますが。だって私のモバイル環境ではこれしか選択肢がないんだもの)。

個人的に、どちらにするかは結論が出ていない(実は決まっている。ロスレスしかない。でも容量が、ヘッドフォンが。どっかにお金落ちてないかな)。
もちろんロスレスのほうがいいには決まっているが、容量の問題がある。収録曲数が5分の1になることを認めれるかどうかの問題だ(ATRACロスレスはファイルサイズがMP3−256Kbpsの5倍程度になる)。
4GのNW−S616Fに、100曲(CD10枚)分しか収まらない。
やれやれ、既存のMP3−256Kbpsのライブラリは、どちらかのフォーマットで再作成する必要がありそうだ。
気の遠くなりそうな話ではある。
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