巻物読んで読んで読み倒す巻物巻物巻物表紙に戻る

Card Wirth を継ぐもの

◆ 名乗り出た後継者

 Card Wirth、特にエンジンのリリースが止まってから、かなりの時が経った。最後のリリースがあったのは 1999年8月。とても残念なことだが、新バージョンのリリースを期待するのは難しい。
 ところが、2003年4月1日、独自に Card Wirth の後継ソフトを開発しているユーザーがいることが判明した。個人的に非常に興味があったので、早速、インタビューを申し込んだところ、まだ状況が流動的なので、匿名にすることを条件に、インタビュー内容を掲載する許しをいただけた。

 記事を読む前に注意してほしいのだが、今のところまだ、かなり不確定な情報なので、適当に作者の見当をつけて、突っついたり、せっついたり、後ろ指を指したりしないように。特に、春先は、怪しい情報が乱れ飛ぶので、軽挙妄動は避けておきたい。
 以上、くれぐれも御留意されたし。


◆ JAVA 版 Card Wirth

――Card Wirth の後継ソフトを作ってらっしゃると聞いたのですが、本当でしょうか?

謎の作者 バレちゃった? 一応、本当だよ。後継といえるかどうかは、分かんないけど。

――と、仰いますと?

謎の作者 Card Wirth のソースコードが公開されているわけじゃないからね、細かいところどころか、基本的なところが、どうなっているのかすら分からない。それじゃ、どうしたって別物になっちゃうよ。プログラム言語からして、C++ じゃなくて、JAVA だもん。

――JAVA ですか。うーん、動作が重くなりそうですね。

謎の作者 一度起動しちゃえば、それほどでもないと思うよ。ま、起動するまでが大変だけどさ。さくっと遊んで、さくっと終わるには、けっこうなスペックの環境が必要になるだろうね。

――Card Wirth の売りの1つの「軽快さ」を捨ててまで、JAVA を選択した理由は何ですか? やはり、マルチ・プラットフォームということを重視したのですか?

謎の作者 オレが JAVA しか知らないから、理由はそんだけ。確かに、マルチ・プラットフォームとか、他言語対応とかの利点もあるけど、それはオマケみたいなもんだ。実現に向けての努力はするよ。


◆ 継ぐもの・継がぬもの

――まったくの別物になるわけですか。そうすると、今あるシナリオや宿データは……。

謎の作者 うん。現存シナリオ・宿データへの対応は考えいない。XML 形式での入出力をサポートする予定だから、誰か、オリジナル Card Wirth のデータ・フォーマットを解析して、コンバータを作ってくれることに期待したいね。

――XML 対応となると、データの構造がかなり変わってきそうですね。

謎の作者 そうだね。カード画像なんかのバイナリ・データは、外に追い出されることになるよ。このあたりの仕組みの変更で、シナリオ外リソースの利用とか、シナリオフォルダの階層化なんかも解禁になるよ。ネット上のデータを読みにいく、なんてこともあるかもね。JAVA だから、そういうのを作るのは楽。

――ネット対応ですか。そうすると、多人数プレイのような、今っぽい楽しみ方もできるようにするんですか?

謎の作者 おお、いいね。でも、残念ながら、その予定は無いよ。一応プログラム・ソースは公開するつもりだから、これについても、他の誰かがやってくれることを期待したいね。

――では、Card Wirth のどういう部分を引き継いで、どういう部分を引き継がないのか、その辺、具体的にどうなります?

謎の作者 引き継ぐものは、Card Wirth の基本デザインと、各種リソース。引き継がないのは、シナリオと宿。さっき、言った通り。

――基本デザインと言うと?

謎の作者 ルールとかシステムとか、そういうもの。まったく同じというわけにはいかないけど、Card Wirth 経験者なら、直感的に理解できるようにするよ。

――なるほど。もう一方の、リソースと言いますと、カードの絵とか背景、MIDI や、効果音ですね。

謎の作者 そう。絵のサイズは同じにするよ。オリジナルのファイル形式に加えて、PNG とか、GIF もサポートする。半透過も可能にしたいね。 音については、GSM 6.10 とか、ADPCM なんかの特殊な CODEC を使う WAV ファイルは扱えなくなるだろうけど、Ogg Vorbis に対応させるから、問題ないよね?

――Ogg Vorbis というのは、MP3 みたいなアレですか?

謎の作者 そう、アレだ。JAVA の MIDI ってかなり貧弱だから、Ogg Vorbis の音楽なり、効果音なりを背景で流せるようにするつもりだよ。

――ゴージャスなシナリオができそうですね。

謎の作者 そのゴージャスさが、外見だけに終わらないことを期待するよ。……あ、それ以前に、オレがとっととブツをリリースしなけりゃなんないのか。

――ええ、お願いしますよ。(笑い)


◆ 細かな新要素

――扱えるファイル形式が増えるのは分かりました。他に、新要素はありますか?

謎の作者 うーん、細かい話になっちゃうけど、パッケージのインポートなんてのができるようになるよ。Card Wirth に、スキルとか召喚獣のインポートってあるよね、あれのパッケージ版。必要なフラグとかステップも一緒に持ってくるようにするし、フラグやステップの代入というか、同期させるコンテントを新設するから、ライブラリと呼べるようなものが実現できるんじゃないかな。

――ライブラリ・パッケージを利用すれば、他の人が作ってくれた、複雑な処理が簡単に使えるようになるわけですね。

謎の作者 たぶんね。あとは、テキスト表示形式・カード表示形式の多様化、アニメーション・オブジェクトの追加、キーコードイベント処理の改良、使用カードやプレイヤーの状態などの情報の取得可能項目の拡張、処理の内容をわかりやすくするための「コメント」とか、それから、これはまだ決定ってわけじゃないけど、数値を扱うコンテントの導入とか……本当に細かい話ばっかだな。

――そういう Card Wirth の話を聞いたような記憶が……。ああ! 一昨年に出回った幻の新バージョン! あれはデマでも幻でもなかったんですね?

謎の作者 まあね。地道にコツコツ作ってたんだよ。

――あの当時のバージョンから、あまり進展がないようですが……?

謎の作者 あんた、失礼だね。でも、その通りだよ。ちょっと壁にぶつかってね。

――技術的な問題ですか?

謎の作者 違う。これについては後で話す。

――はい。では、他に新要素を追加する予定はありますか?

謎の作者 そうだな、これも決定事項じゃないけど、エンジン側でシナリオを管理する仕組みを追加したいね。圧縮ファイルをシナリオ・フォルダに入れるだけで、遊べるようになったり、もう遊ばないシナリオを削除・移動したり……。シナリオのダウンロードもエンジンだけでやれるようにしたいね。その場合、新生ギルドに登録したシナリオに限られるだろうけど。

――シナリオを配布する「ギルド」も運営するのですか?

謎の作者 できればね。Adventurer's Guild の存在って、Card Wirth プロジェクトが成功した大きな理由の1つだよね、間違いなく。サーバを借りるか、自前でやるかは決めてない。まだまだ先の話。


◆ サンプル版公開

――不躾ですが、気になる方も多いでしょうから、これをお聞きしないわけにはいきません。

謎の作者 とりあえず動くものができてるかって?

――はい。

謎の作者 あるよ、動くヤツ。でも、JRE 1.4 以上が無いと実行できないよ。一般的な Card Wirth ユーザーで、最新の JAVA 実行環境を整えてる人って、数えるほどしかいないんじゃないの? 初期段階のソフトを確認するだけのために、わざわざインストールしてもらうのも気が引けるな。

――なんとかなりませんか?

謎の作者 じゃ、こうしよう。WWW ブラウザの JAVA 実行エンジンで動くサンプル版をサクッと作るよ。Internet Explorer の JAVA エンジンだと、既に完成しているほとんどの部分が使えないから、相当シンプルになっちゃうけど、構わないよな?

――ええ、感じだけでも掴めれば。

謎の作者 大丈夫だと思うよ。

というわけで、JAVA の実行を許可してから、クリック!
 サンプル JAVA アプレット を開く

◆ マスコット・キャラクター?

謎の作者 「新要素」の続きだけどな、オレの Card Wirth には、マスコット・キャラクターがいるよ。

――マスコット・キャラクター?

謎の作者 そうだよ、ヒゲオヤジ「マ●オ」とか、ハリネズミ「ソ●ック」とか、電気鼠「ピ●チュウ」とかさ、ヒットしたゲームには付き物だろ、ゲームの「顔」になるようなキャラクターが。

――なるほど。それでどんな感じのキャラクターなんですか?

謎の作者 2人組で、名前は「カード君」と「ワースちゃん」だ。

――随分とストレートな名前ですね。

謎の作者 こういうのは、とことんわかりやすい方が良いんだって。

――そ、そうかもしれませんね。それで……、カード君とワースちゃんって、やっぱり可愛いぃ感じの男の子と女の子なんですか?

謎の作者 ワースちゃんは、あんたの言う通り、可愛い男の子。母性本能くすぐりまくりのラブリーボーイ。でも、カード君は、ボブ・●ップが腰抜かすほどの筋肉ダルマ。体臭ムンムンのバーバリアン! 両方とも男だよ。

――え? どうして、また……。

謎の作者 そりゃ、おめえ、ムサいユーザーに「萌えー」とか言われたくないからな。たとえばだよ、ワースちゃんを美少女にしてみ、「お父さん、ワースちゃんを僕にください。必ず幸せにします!」なんてメールよこす唐変木が出てくるぜ、絶対。
どうせなら、「ワースちゃん、かわいい! 今度、お姉さんのところに遊びに来させてね(^o^)/ かしこ」って方が、良いだろ?

――どちらのメールも来ないと思います。

謎の作者 ってェことは何かい? 「押忍、カードの兄貴、無様なオレに気合いを入れてください!」ってメールが来るって? おう、そりゃ困るな。

――ええと……。

謎の作者 お、それとも……

――マスコット・キャラクターについては分かりました。

謎の作者 わかっちゃいねえよ、これっぽっちもわかっちゃいねえよ。マスコット・キャラクターの設定は凄く重要だぜ。

――はい。重要性については、異論ありません。

謎の作者 だろ? だろ? でな、カード君は、戦争奴隷上がりの傭兵なんだよ。ワースちゃんは、魔法学院の温室育ちで……

――あの、急にお元気になられたようですが……

謎の作者 おう、今日はちゃんと朝飯食ってきたからな!

――ええ……。

謎の作者 あ! おめえ、莫迦にしただろ? 心の底で笑ったろ? だからおめえは、わかっちゃいねえってんだよ。本当に重要なんだよ、ほんとに・じゅー・よー! 長いこと開発が止まってんのは、この2人のせいなんだぜ!

――と、いうと?

謎の作者 2人の出会いがな、どうもインパクトに欠けるんだよ。

――はあ……、出会いは大切ですからね。

謎の作者 お、わかってきたな!

――本日はありがとうございました。完成を楽しみにしています。

謎の作者 だからさ、出会いがな……

――ありがとうございました。

[一言に一言] [質問王への道] [幻の新CW] [古山さん一問一答]
[安全確保] [アニメ化決定] [Card Wirth を継ぐもの]
戻る


Copyright (C) Shu Koyama 1999-2003
No reproduction or republication without permission.

koyamas@dream.com

禁無断転載

表紙に戻る