第二章 水面下の日中アヘン戦争
第二章 水面下の日中アヘン戦争
「満州国」は建国にあたってアヘンの政府専売による利益を予算に組み込んでいた。そのために是が非でも専売を実現しなければならなかったが、専売の実現のためには数多くの課題がある。「満州国」も例外ではなく、アヘン専売体制設立のために3つの課題があった。第一に、「アヘンの販売ルート制限と流通経路の独占」第二に「アヘンの安定入手と供給を続ける機構の作成」第三は「消費者の把握・管理」である。
何故ならば、専売を行う物品にニーズがなければ利益をあげるどころか、根本的に売れない。そして、専売を行う政府が安定してアヘンを入手して適切に供給し続けることができなければ、民衆は政府を信用できなくなって闇マーケットが発生し、必然的に専売体制が崩れる。もちろん販売ルートまで完全に独占してシェアを握らなければ、専売そのものが成り立たたず、価格統制をはじめとして市場統制ができない。
「満州国」の専売体制確立にあたって影響を与えた大きな存在は二つある。まず前章で述べたような満州という地域の特殊性と、あとは同じく中国東北部で勢力を持つ関東庁と関東軍の関係が、直接あるいは間接的に影響を与えることとなって、「満州国」が展開するアヘン政策に大きな影響を与えた。本章では、日本だけでなく東北軍閥が行ってきたアヘン政策を通して「満州国」でのアヘン専売に与えた影響を見ていく。
■第二章 水面下の日中アヘン戦争 |
1 「日本のアヘン専売経験」 |
2 中国東北部に蔓延する関東庁アヘン |
3 張学良と関東庁のアヘン戦争 |
|
←第一章へ 第三章へ→ |