■完結編以後のヤマトの動き
●YAMATO2520 オリジナル・ビデオ・アニメーション全7話完結。既発は3巻まで。以後未完。完成後、再編集し劇場公開予定(だった)。
この作品は、全く新しいヤマトを作ろうとしたのではなく、既存の宇宙戦艦ヤマトの延長線上で作ろうとしたが、途中で進路変更し、まったく異なったコンセプトで作り始めた(とライナーノートに書かれたいように思う)。
しかし、製作途中で若手スタッフと西崎EPの間で「宇宙は海」というコンセプトが元で喧嘩別れになった(という話を聞いた)為、中断しているらしい。
シド・ミードデザインの18代YAMATOは、松本氏が描いたヤマトの面影を残しつつ、近未来の戦艦を見事に映し出している。主砲発射シーンや、ワープシーンなど、見ていてわくわくする映像が続出した。
少年達がYAMATOを作り上げてしまうのは、いささかビックリな設定だったが、それ以外は、まずまず。第17代YAMATOがリンボスに突っ込み大破するシーンや、地球連邦とセイレーン軍の闘いはお見事。リンボス星の置かれた立場は、まるで第二次大戦中のフィリピンを思い出せた。石油=モノポールで考えれば合点がいくと思う(西崎氏は自身の手でフィリピンにアニメ製作会社を作っていた)。
この作品に、松本零士氏の名前がクレジットされているが、作品の中では何もしていない。していないが、やはりヤマトのデザインといったら松本氏抜きには考えられないだろう。
個人的には、レイジメーターと呼ばれる円形のレーダーが好きなんだけどなぁ。
話を元に戻すと、未完の大作と言われ続けて久しい『YAMATO2520』の続きが早くみたい!と切に願う今日、この頃です。
-----------------------------------------------------------------------
さて、途中で打ち切られた製作が、その後どうなるかが気になるところ。
まず、重要な手がかりとなる文章があります。
【事件名】ゲームソフト「宇宙戦艦ヤマト」事件
【年月日】平成13年7月2日
東京地裁 平成11年(ワ)第17262号
著作権損害賠償等請求事件
(口頭弁論終結日 平成13年3月14日)
これは、宇宙戦艦ヤマトのプロデューサーである西崎氏がバンダイを相手取って起こした裁判で趣旨は「本件は、映画の著作物である別紙作品目録記載の各作品(以下「本件各著作物」という。)について、著作者であると主張する原告が、被告らに対し、被告らが別紙物件目録1及び2記載の各ゲームソフト(以下「本件各ゲームソフト」という。)を製作、販売する行為は、原告が本件各著作物について有する著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)を侵害するとして、本件各ゲームソフトの複製等の差止め及び損害賠償の支払を求めた事案である。」と書かれているとおり、西崎氏に無断でゲームを製作したことは、けしからん!というものの判決文です。
ゲームをプレイした人は気付くと思いますが、スタッフクレジットのどこを見ても、西崎氏の名前はありません。
さて、話を元に戻しますと、西崎氏は、宇宙戦艦ヤマト復活編を作るために、現存作品(今までのTVシリーズ、劇場公開シリーズ)を東北新社に譲り渡し、そのことによって資金を得ようとしたのです。
この裁判の中で、宇宙戦艦ヤマトという映像作品がどのような扱いになったかが書かれています。
再び一部を抜粋します。
「本件譲渡契約は、その1条4項において、当該契約の「対象権利」は、「対象作品に対する著作権および対象作品の全部又は一部のあらゆる利用を可能にする一切の権利」と定義している。すなわち、本件譲渡契約は、1条1項ないし3項において、原告らが著作権等を有する劇場用映画「宇宙戦艦ヤマト」等の映像著作物を「現存作品」と、原告が将来完成させる「YAMATO
2520 VOL.4〜7」等の映像著作物を「将来作品」と、現存作品及び将来作品を併せたものを「対象作品」と定義し、その該当作品を契約書添付の別紙(一)により特定し、その上で、同条4項において、「対象作品に対する著作権および対象作品全部又は一部のあらゆる利用を可能にする権利」を「対象権利」と定義している。」
つまり、西崎氏は、YAMATO2520を製作、完成させ、その後に納品しなければならないという条件のもと、譲渡契約を結んでいるのです。
ですからYAMATO2520は、完成が条件なのです。
きっと、私なりの都合のいい解釈をするならば、2520を作り終えない限り、他の作品は作れないだろう、と思うのです。
いかがでしょうか?
まだまだ皇帝ブローネの最後も、ナブ達の活躍も見終わっていないのですから、はやく完成して欲しいと思います。
また新たな情報が入り次第、お知らせいたします。
|