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そこを穿つ!

◆ 選択メンバに関する基礎知識

  • イベント中、主導権を握るのが選択メンバ
  • 選択メンバが未指定の状態で選択メンバを指定するとランダムで選択される
  • イベントが終了すると選択メンバは自動解除される

 よく宝箱を開ける場面などで、実際に行動する冒険者を選ぶことがあるが、その時選択された冒険者が「選択メンバ」だ。また、宝箱をスキルで開けるのならば、スキルの行使者が選択メンバになる。
 カードワースエディタのヘルプに書いてある「主導権を握る」というのは、つまりそういうこと。主にパーティの中で実際に行動を起こす者のことを指している。また、宝箱を開けるのに失敗すれば、選択メンバは痛いしっぺ返しを食らうかもしれないし、そうでなくても悪態を吐いたりするかも知れない。選択メンバは、行動を起こすだけでなく、その結果を一人で受け止めるという側面もあるのだ。
 選択メンバの理解やメンバを自由に選択する方法などを学んでおくと、シナリオがぐっとそれらしくなってくるので、このページの知識は完全に自分のものにしてほしい。

 最初に確認してほしいのが、選択メンバが未指定の状態で選択メンバを指定するとエンジンがランダムで選択メンバを決定するということだ。
 本来ランダムで選択されるべきではない場面でランダム選択が起きるのは、上記の仕組みが働いている場合が多い。後ほど説明するメンバ選択時の挙動の「ランダム選択」の中にも、この仕組みによるランダム選択が含まれている。
 次に確認してほしいのが、一連のイベントが終了すると選択メンバが解除されるということだ。コンテントツリーの終端に達すると、選択メンバは一度解除され未指定状態になる。つまり、新たにメニューカードをクリックしたり、場面移動を行った後で選択メンバを指定すると、前回の選択メンバは引き継がれないで、先のランダム選択が起きるのだ。
 リンクしていない複数のツリー間で選択メンバを揃えるには、一時的に称号やカードを与えて、確実に目的のメンバを選択できるようにしよう。

 以降、メッセージ・セリフと選択メンバメンバ選択方法のあれこれ分岐コンテントによる選択敵を選択する方法と順に解説していく。基礎知識を吸収できたら次へ進もう。


◆ メッセージ・セリフと選択メンバ

  • メッセージ・セリフコンテントによって選択メンバが変わることはない
  • セリフコンテントの称号分岐は選択メンバではなく話者を対象として判定される
  • 話者がセリフ選択条件の称号を持っていないと、セリフが省かれる
  • 一人パーティで「選択中以外」を指定すると、メッセージやセリフが省かれる

 セリフコンテントは称号分岐を行って最適な話者を選び出すものだ……という勘違いがよく見受けられる。そう考えたくなる気持ちはよく分かるが、落ち着いてヘルプを読めば、セリフコンテントとは話者が持っている称号によりセリフを変化させるものだということが分かるはずだ。
 ここではっきりさせておこう。メッセージ・セリフコンテントで言うところの「選択中」は「話者」ではなく「選択メンバ」のことを指し、「メッセージやセリフの話者に選ばれること」=「選択メンバになること」ではない
 選択メンバ未指定時に選択メンバを話者として指定してメッセージ・セリフ表示すると、話者が選択メンバになるという例外はあるが、これは基礎知識の項目で確認した選択メンバ未指定時の強制ランダム選択が働いた結果だ。基本的に話者が移動しただけで選択メンバが移動することはない

 また、セリフコンテント絡みのよくあるバグとして、メッセージの抜けがある。主な原因は2つ。上記のようなメッセージコンテントそのものに対する誤解と、話者がセリフ選択条件の称号を持っていないというものだ。後者はメッセージコンテントを正しく理解している人間でも、ついやってしまうので十分に気を付けたい。
 対処法は、ヘルプのセリフダイアログの例にあるように、称号無しのセリフを一番下に設定するだけだ。
 これは、あまり起こることではないだろうが、一人パーティで「選択中以外」を指定すると、メッセージやセリフが省かれてしまうということも覚えておこう。うまくパーティ内で会話が起きるようにしたいなら、複数人数パーティ専用シナリオと添付文書に明記しておくか、一部セリフが省略されることを想定して、会話を組み立てよう。

メンバ選択方法のあれこれ

  • メンバ選択コンテントによる選択
  • 称号分岐による選択
  • 各種カード所有分岐による選択
  • 状態分岐による選択
  • 各種カード行使による選択
  • カード取得・喪失コンテントは選択メンバを変更しない
  • 効果コンテントは選択メンバを変更しない

 特定のメンバを選択状態にする方法は、メンバ選択コンテント、称号分岐コンテント、各種カード所有分岐コンテント、判定分岐コンテント、状態分岐コンテント、そして各種カードの行使と、大きく分けて6つある。

 最初のメンバ選択コンテントとは、冒険者名のダイアログを表示してその中から選択してもらう、例のアレだ。選択をプレイヤーでなくエンジンにお任せすることもできるこの方法が一番ストレートなやり方といえよう。特に悩むところはないだろうが、一点だけ注意しておきたいのが手動の選択をキャンセルした場合についてだ。
 もちろん選択をキャンセルすれば、選択メンバは未指定の状態になる。ところが選択メンバの基礎知識で確認した通り、未指定状態で選択メンバを指定すると、自動的にランダム選択が行われる。つまり、変なツリーの組み方をすると選択をキャンセルしたのに、選択が行われるという事態が起きてしまうのだ。
 まあ、そういう訳の分からないツリーを組む人はいないだろうが、念のため。

 次の各種分岐コンテントによる選択もよく使われる。この分岐コンテントによるメンバ選択は、とても便利な反面、感覚的に理解し辛い「初心者殺し」な面があるため、項目を改めて詳しく取り上げることにする。

 その次のカード行使による選択は、主にキーコード発火イベントやカード使用時イベントで用いられる選択方法だ。この方法は、スキルやアイテム、召喚獣などを使った人間は、自動的に選択メンバになるという性質を利用する。面白いのは、プレイヤーキャラだけでなく、NPCも選択対象になるというところだ。
 例えば、敵Aが敵Bに向かってキーコード「敵攻撃」を持ったスキルで攻撃をする。敵Bに「敵攻撃」というキーコードで発火するイベントを仕込んでおけば、敵Aに喋らせたり、敵Aを対象として効果コンテントを使ったりと、様々なことが可能になる。
 なお、選択メンバは敵Bではないところに注意しよう。選択メンバになるのは行為者であり行為対象ではない。

 最後はメンバ選択が行われそうに見えて、実は選択を行わないコンテントについて述べておこう。
 代表的なのがメッセージ・セリフコンテントだが、これについては既に別項目で触れてあるので省略して、効果コンテントの対象を「誰か」にした場合の話に移る。
 対象を「誰か」にした時点で、選択メンバが効果対象に移動しそうな気がするが、ひっかっかってはいけない。実は、メッセージ・セリフコンテント同様、選択メンバーは移動しない。だから、ランダムで選んだ冒険者にダメージを与えて悲鳴を上げさせるには、以下のような手順を踏まないと正しく動作しない。

  1. メンバ選択コンテントなどで選択メンバを決定
  2. 対象を「選択中」にして効果コンテント(ダメージ)
  3. 対象を「選択中」にしてセリフを喋らせる

 ランダムで効果コンテントの対象を選ぶのに、対象「誰か」を使わないのがミソだ。「効果対象=選択メンバ」でなくても良いならば、対象「誰か」を使った方が簡単だ。
 また、選択メンバが未指定の状態の時に、対象「誰か」で効果コンテントを使用すると、効果対象が選択メンバになるが、これは効果コンテントが選択メンバを決定したのではなく、選択メンバ未指定時に自動的実行される毎度お馴染みの強制ランダム選択が働いた結果である。

 アイテムやスキルなどの配付・消去コンテントにおける対象「誰か一人」にも、効果コンテントと同様のことがいえる。ランダムで選んだ冒険者にアイテムを渡して、「○○は××を入手した」と表示するケースを考えてみよう。対象「誰か一人」にしてアイテムを渡したところで、アイテム入手者が選択メンバになるわけではないので、やはりメンバ選択コンテント等で先に選択メンバを決定しておくのが安全だ。
 例の未指定時の強制ランダム選択を利用することもできるが、確実に未指定状態であると言えるなら、という条件が付く。対象はもちろん「誰か一人」でなく「選択中」を指定すること。
 しかし、この方法を使うと混乱しそうなので、前者のメンバ選択コンテントを使う方法をお薦めする。

分岐コンテントによる選択

  • 条件「誰か」で成功:最初に適合したメンバ
  • 条件「誰か」で失敗:ランダム選択
  • 条件「全員」で成功:ランダム選択
  • 条件「全員」で失敗:最初に適合しなかったメンバ
  • 分岐コンテントを使った時点で選択メンバが移動する

 分岐コンテントはいくつかあるが、メンバ選択に関わるのは、称号分岐、各種(アイテム・スキル・召喚獣)カード所有分岐能力判定分岐状態分岐等のコンテントだ。
 いろいろあるが、これら分岐コンテントによるメンバ選択のやり方は全て同じで、上の箇条書きに記した通りになっている。
 「最初に適合」という言葉について補足する。カードワースのエンジンは、一番左に位置する冒険者から順々に判定を行っていき、一番右に位置する冒険者への判定を最後に行う。「最初に適合」というのは、左から調べて行って最初に適合した……ということを意味している。

 以上を確認したら、下の表を見てほしい。様々な分岐コンテントにおける成功と失敗の意味とメンバ選択の結果をまとめてみた。いろいろ書いてある表を見て混乱してしまったら、上の箇条書きに戻ろう。これだけをしっかり理解していれば、表の知識はそれほど必要ではない。

コンテント 対象 成功とは? 成功時選択 失敗とは? 失敗時選択
称号所有
誰か 一人以上が称号を所持 最初に所持確認できたメンバ 全員が称号を非所持 ランダム選択
全員 全員が称号を所持 ランダム選択 一人以上が称号を非所持 最初に非所持確認できたメンバ
カード所有
誰か 一人以上がカードを所持 最初に所持確認できたメンバ 全員がカードを非所持 ランダム選択
全員 全員がカードを所持 ランダム選択 一人以上がカードを非所持 最初に非所持確認できたメンバ
能力判定
誰か 一人以上が判定成功 最初に判定成功したメンバ 全員が判定失敗 ランダム選択
全員 全員が判定成功 ランダム選択 一人以上が判定失敗 最初に判定失敗したメンバ
状態判定
誰か 一人以上が判定成功 最初に判定成功したメンバ 全員が判定失敗 ランダム選択
全員 全員が判定成功 ランダム選択 一人以上が判定失敗 最初に判定失敗したメンバ
一人以上という表記があるが、実際は誰か一人の判定が成功・失敗した段階で判定は打ち切りになっている。
ランダム選択は、選択メンバ未指定状態を含む。どちらにしろ、ランダム選択されたメンバが選択メンバになる。

 最後に重要な注意! ここで紹介した分岐コンテントをメンバ選択の手段として使うつもりがなくても、選択メンバが移動してしまう点には十分気を付けよう。
 例えば拙作「機巧の店・鋼腕屋」では、選択メンバに対して手術をする前に、称号やカードの有無を調べているのだが、この段階で選択メンバが動いてしまう可能性がある。そこで、一番最初の本命選択メンバに称号「_選択中」を一時的に付与し、全ての確認作業が終了した時点で、称号「_選択中」を持っているメンバを選択し直している。
 一時称号を複数のメンバが持っていては都合が悪いので、手術処理の前後で称号「_選択中」を全部消去している点に注目。一時的な称号は他人のシナリオに迷惑かけない・かけられないように、処理前後で消去する習慣を付けよう。逆に、誰かに消されてしまっては困る称号やゴシップはそれなりに名前を工夫した方が良い。
 称号使用状況については、Mappyさんクーポン一覧表を参考にしよう。

◆ 敵を選択する方法

  • 敵によるカード行使の瞬間を捕らえて敵を選択する
  • 各種カード所持分岐の適用範囲「旧バージョン」で敵を選択する
  • 敵選択状態での適用範囲・判定対象「誰か」「全員」はプレイヤーを選択

 締めくくりとして、敵選択のやり方を解説する。
 まず最初の方法は、敵やNPCが発火するキーコードイベントであっても、選択メンバは常にイベント発火者であることを利用する。これについては「メンバ選択方法のあれこれ」の「カード行使による選択」の場所で解説している。具体的な例としてシナリオ「キーコードマスター」の戦闘「敵選択1」を挙げておくので、解剖して研究してほしい。
 キーコードイベントを使わずに、カード使用時イベント(カード使用者=選択メンバ)を利用しても良いだろう。

 この方法の面白いところは、敵どころかNPCまでも選択できるというところ。効果コンテントの判定対象「選択中」で大ダメージを与えると、なんとNPCが死んでしまう。しかも、プレイヤーサイドでNPCを復活させる方法はないので、ゲームの進行に支障が出てしまう……ことはなかったりする。戦闘が終わればNPCはしっかり復活してくれるので安心しよう。

 次は敵選択の現時点での本命、アイテムやスキル、召喚獣の所持分岐による選択方法だ。秘密は適用範囲「旧バージョン」。
 カードの[配付・消去]イベント系消去で説明したことの繰り返しになるが、ver.1.15までのカードワース・エンジンは、以下の順番でカードの検索を行っていた。

  1. 使用カード
  2. 選択中のプレイヤーキャラクター
  3. 荷物袋を含めたパーティ全体

 パーティが目的のカードを持っていなければ、エンジンは敵のカードを探りに行く。もし、敵の所持カードの中から目的のブツが見つかれば、その敵が選択メンバになるのだ。
 所持分岐に使うカードは、アイテム、スキル、召喚獣と何でもOK。プレイヤー・パーティが絶対に持っていない物を使おう。もちろん、目的の敵がそのカードを所持していないとダメだぞ。具体的には、シナリオ「キーコードマスター」の戦闘「敵選択2」を参考にしてほしい。
 また、NPCについては所持チェックされない(NPCが既に選択メンバになっている場合を除く)ので、NPCをこの方法で選択状態にすることはできない点には注意。
 もう一つ注意したいのが、敵を選択状態にしたところで、効果コンテントなどの判定対象を「誰か一人」あるいは「パーティ全員」にすると、敵パーティではなく味方パーティが対象になってしまうことだ。
 シナリオ「機巧の店・鋼腕屋」の模擬戦闘開始イベントの敵全体暴露処理が、敵パーティを擬似的に選択する方法のヒントになるだろう。

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