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そこを穿つ!

召喚獣 イントロダクション

 「召喚獣を制す者は、カードワースを制す」という言葉を聞いたことはないだろうか? 筆者はない。格言でも何でもなく、今パッと作った言葉に過ぎないから。だが、そういう格言があっても別に不思議ではないことは事実。召喚獣はそれだけ使いでがあり、また厄介な存在だからだ。
 このページでは、召喚獣のどの辺が便利で、どの辺が厄介なのかを細かく解説していく。

 最初に、CardWirth ver.1.20 における召喚獣の仕様を見てから、注意すべきポイント様々な活用法という順に進む。

◆ 召喚獣の仕様

  • 召喚可能数 =(冒険者レベル+2)÷4 ※端数切り上げ 
  • 攻撃でも防御でも、発動すれば使用回数が減る 
  • 発動条件が満たされなければ、召喚獣は行動しない 
  • 使用回数を0にすれば付帯能力になるわけではない 

 召喚獣の基本的仕様については、エンジンのヘルプ<召喚獣カード>のページが詳しい。これから先は、ヘルプに書いてある知識は身に付けているという前提で話を進めるので、どうかそのつもりで。

▼ 召喚可能数

 昔々のカードワースの世界では、ボス戦前に召喚(サラマンダー×5 + ウンディーネ×5)×6人分などという恐ろしいことを結構していた。冒険者のレベル制限もなかった時代のことだ。このくらいしないとボスに勝てないシナリオなんて、ザラにあった。
 だが、いくらなんでもそんな状態ではゲームバランスなんて取りようがない。やがて、様々な制限が設けられた。上の箇条書きにある召喚可能数の式は、そういう制限の一つだ。

 普通の冒険者のレベル上限は10。よって、冒険者の召喚可能限界は3体だ。もちろん希に生まれる特殊な冒険者の中には、レベル上限がもっと高い者がいるし、連れ込みNPCという存在もあるので、それ以上召喚することも可能だが、それはあくまで特殊ケース。普通は3体までと認識しておこう。
 では、レベル上限が99となっている敵やNPCの場合はどうだろう? (99+2)÷4=25.25 だから、26体? ……ではなくて、正解は10体。まあ、普通はそういう無茶なレベルのキャラクターをシナリオに出すことはないので、ほぼ無意味な数字ではあるが、参考まで。

▼ 使用回数

 攻撃能力や、治癒能力を持つ召喚獣の使用回数については、特に書くことはない。「動いた分だけ回数が減る」。それだけだ。問題は、召喚獣に防御力や回避力などの能力値修正が設定されていた場合だ。これが意外にややこしい。
 基本はやはり「動いた分だけ回数が減る」なのだが、召喚獣が「動こう」と判断する基準が、修正する能力値により、次表のように異なっている。

[召喚獣のタイプと使用回数の減り方]
 
何に反応? 使用回数の減り方 必中効果を食らった
防御型
召喚獣
ダメージモーション的中 ダメージモーションの数と同数だけ減少 ダメージモーションの数と同数だけ減少
回避型
召喚獣
回避属性効果の効果目標になる 1回分だけ減少 回数は減らない
抵抗型
召喚獣
抵抗属性効果の効果目標になる 1回分だけ減少 回数は減らない

 表の「防御型」とか「回避型」というのは、召喚獣に設定した「使用時能力修正」の型を表している。「防御型」なら、防御の値にボーナスもしくはペナルティを持ち、「回避型」なら、回避の値に……という具合。

 次の「何に反応?」の欄には、それぞれの型の召喚獣がどう言うときに動くのかを記した。防御型は、ダメージモーション、つまり「効果」の生命力パレットにある「ダメージ」と「生命力吸収」が的中した時に動いて、ダメージを軽減 or 増幅する。
 一方、回避型と抵抗型は、それぞれの属性(回避 or 抵抗)と一致する場合に動き、回避や抵抗の手助けをしたり、足を引っ張ったりする。この型の召喚獣は、攻撃が当たる前に働かなければ意味がないので、効果の成否に関わらず動くところに注意しよう。

 最後の欄「必中効果を食らった」は、効果の成功率修正値が「+5(絶対成功)」になっていた時の特例について。防御型は通常通り動くが、回避・抵抗型動かない。連中は「動いても無駄なら、何もしない」という効率至上主義者なのだ。(そのくせ、成功率修正値が「−5(絶対失敗)」なのに動いてくれるところは、かわいげがある。)

 複合型の召喚獣の場合はどうか? それは自分で調べてみよう。ここにある情報から、ある程度は予想できると思うが、何事も自分でやってみるのが大切。

▼ 発動条件

 シルフィードのような消極的な能力修正型召喚獣の発動条件は、上の項目の中で説明したので、ここではサラマンダーやウンディーネのように、能動的に動くタイプについて述べる。
 能動的召喚獣が動くための条件は2つある。

  • 動ける時に動く
  • 所有者が生きていれば動く

 この条件が満たされていれば、同一ラウンドに消極的動作をした後でも、とりあえずは働いてくれる(キーコード発火イベントや召喚獣に仕掛けられたカード使用時イベントによって、制止されるケースがあるので「とりあえず」)。

 使用回数のところでも少し述べたが、召喚獣……というより、カードワース全体の攻撃ルーチンは、明らかに無駄な行動は慎むようになっている。たとえば、武器も魔法も効かない相手と対峙した時、冒険者達はその敵を対象にするカードを自動選択しない。また、怪我人や中毒や麻痺などの状態異常が発生していなければ、ウンディーネは動かない。最初に書いた発動条件「動けるときに動く」というのは、つまりそういうことだ。

 ただし、キーコードや召喚獣自身に仕掛けられた使用時イベントによる制止までは見ていない。だから、攻撃の度に「うつけがァ、効かん!」と叫ぶタイプの敵に、召喚獣が攻撃を繰り返し、やってられない気分になることも……。
 そうなっても召喚獣を責めないでほしい。シナリオ作者がそういう事態を予測していなかっただけだ。心にゆとりがある時に、やんわりと指摘してあげると良いだろう。

 次の発動条件「所有者が生きていれば動く」だが、この場合の所有者は召喚者ではなく、召喚獣を現に所有している者を指している点と、麻痺状態は生存と見なされない点には注意。
 こちらの条件判断は、判断タイミングが少しだけ特殊だ。普通、召喚獣が動くか動かないか、動くとしたら誰を標的にするかなどの判断は、毎ラウンド頭に行われる。そのため、いかに無駄が嫌いな召喚獣といえども、空振りや無駄撃ちを頻繁にしてしまうわけだ。しかし、所有者の生存チェックは、召喚獣が実際に動こうとしたその瞬間に行われる。  これは、トロールの再生能力などの効き過ぎを防ぐための仕掛けのようだ。昔のトロールは、連中のターンが終わる前に倒されてしまうと、再生能力によりムックリと起きあがってくる、実にイヤらしい敵だった。もちろん今は、トロールといえども、一度倒してしまえば、治療しない限り起きあがってくることはない。

▼ 付帯能力

 普通の召喚獣とは違い、使用回数が無限で、所有者が意識不明になっても消滅しないし、キャラクターカードのアイコンとしても表示されない召喚獣がある。トロールが持つ「再生」や、バットの「飛行」がそれだ。これらの特殊召喚獣は付帯能力カードと呼ばれている。

 召喚獣が付帯能力化するための条件というのが意外と難しい。
 使用回数を0(つまり無限)にすることだと、よく思われがちだ。筆者も最初はそう思いこんでいた。だが、それでは付帯能力化できないことがあるのだ。
 試しに、使用回数0の召喚獣を呼び出すカードを作ってみよう。果たして、呼び出された召喚獣はいつまでも働いてくれるだろうか? NOだ。1回だけ発動すると、召喚獣はそのまま消えてしまう。正しい条件は以下の通り。

  • 使用回数0の召喚獣をキャストカードの設定で最初から所有
  • Get パレットの中の召喚獣獲得コンテントで召喚獣を付与

 初めから持っている召喚獣を付帯能力にする場合は、召喚獣の使用回数が問題になり、後から付帯能力を付ける場合は、付与方法が問題になる。普通の召喚獣を付与したいなら、効果コンテントの「召喚‐召喚獣召喚」を使い、付帯能力化したいなら、召喚獣獲得コンテントを使うこと。後付けする時は、召喚獣の使用回数は関係ないぞ。

 なお、使用回数999回の召喚獣を一時的な付帯能力の代わりとして使うのも一つの手。召喚獣がプレイヤーの手によって消されてしまう可能性はあるが、召喚獣アイコンとして表示することができるので、何らかの変化があったことや、それが誰の身に起きたのかなどのちょっとした情報を与えることができる。

◆ 注意すべきポイント

  • 常に召喚可能とは限らない。常に存在するとは限らない 
  • 召喚獣データの更新は意外に面倒 
  • 効果「消滅‐召喚獣消去」と、召喚獣消去コンテントは違う 
  • キーコードの設定は意外に難しい 

 既に仕様のところで、注意すべき点をいくつか挙げているが、ここでは召喚獣起因のバグに繋がりやすいポイントを重点的に解説する。

▼ 召喚獣の存在チェック

 アイテムやスキルと違い、召喚獣をイベントで付与する際、通常は荷物袋には突っ込まず、冒険者へ直接付与することになるが、その際、召喚獣を付与できなかった場合の処理を忘れずに組んでおかなければならない。
 召喚獣を付与できないのは、もちろん所持限界いっぱいに召喚獣を呼んでいるからだ。それならば、効果コンテントの「消滅‐召喚獣消去」を事前に実行しておけば済みそうなものだが、それでもうまく行かないケースがあるのだ。すなわち……。

  • 既に所持していた召喚獣が、付帯能力だった
  • 複数召喚獣を付与したかったが、対象のレベルが低すぎる

 これらのケースをシナリオ側で完全解決する手段はない。できるとしたら、他のメンバーを精査したり、召喚獣の空きを作るよう指示を出したりすることくらいだろう。
 こういったケースは通常のイベントよりも、敵側を対象にするカードの使用時に起きる方が多そうだ。他人のシナリオ内で問題が発生しては、誰も彼も手の出しようがない。召喚獣を使った高度なカードを作る際は、たとえ制作者の意図通りに事が運ばなくても、それほど酷いことにならないよう、特に気を付けよう。

 似たような問題として、付与した召喚獣が消されてしまうというものがある。たとえば、冒険者に付与した召喚獣を使って、何かイベントを仕掛けようとしたところ、何らかのスキルによって召喚獣を消されてしまったという場合がそれだ。当然、こういったケースも、想定しなければならない。

 召喚獣に限らず、高度なイベントを作る際、一番難しいのは、様々な例外的ケースを想定することだと思う。これは、一シナリオ作者としての実感。テストプレイをしてもらえば、何とかなるだろうなどという甘い考えは持たない方が良いぞ。

▼ 召喚獣データの更新

 召喚獣のデータを更新するのは意外と難しい。更新作業そのものは普通のカードと同じなのだが、更新を反映させる作業が面倒なのだ。既に完成に近いシナリオの召喚獣データを書き換えた場合、次の場所の召喚獣を再度指定し直さなければならない。

  • スキルやアイテムが召喚する召喚獣
  • キャスト(NPC や敵)が所有する召喚獣
  • 効果コンテントで召喚する召喚獣(カード使用時イベントを含む)

 具体的には、どうすればよいのか。たとえば、敵が持っている召喚カードで呼ばれる召喚獣を更新するときのことを考えてみよう。手順として、以下の2つのパターンがある。

  • パターンA
    1. カードウィンドウの召喚獣カードを更新
    2. カードウィンドウの召喚スキルカードを更新
    3. キャストが所有する召喚スキルカードを削除
    4. キャストに更新済の召喚スキルカードをドラッグ&ドロップ
  • パターンB
    1. カードウィンドウの召喚獣カードを更新
    2. キャストが所有する召喚スキルカードを更新
    3. カードウィンドウの召喚スキルカードを削除
    4. カードウィンドウに更新済の召喚スキルカードをドラッグ&ドロップ

 敵専用カードはカードウィンドウに残さないという方針だった場合は、パターンBの手順 1. 2.だけで済むし、カードが敵用ではなくて、販売目的のカードだった場合は、パターンAの手順 1. 2.だけで済む。
 また、カードに限らず、該当召喚獣を扱う効果コンテントが存在する場合は、それらすべての召喚獣を再指定しなければならない。

 このように、召喚獣の更新は面倒なので、召喚獣カードを作る際は、とりあえず作ってみるのではなく、最初から完成形を作るつもりで臨むことを勧める。

▼ 召喚獣消去

 効果コンテントの「消滅‐召喚獣消去」は、対象の全召喚獣を消去する仕様になっている。だから、同時にいくつも設定しても意味はないし、1体だけ消去するといった器用な真似もできない。
 また、「消滅‐召喚獣消去」が全召喚獣を消すと言っても、さすがに付帯能力までは消去できない。付帯能力を消すには、Lost パレットの召喚獣消去コンテントを使う必要がある。

 召喚獣消去コンテントは、指定した召喚獣のみを消し去るコンテントだ。付帯能力を消去できるだけでなく、効果コンテントでは不可能だった召喚獣1体だけを消去することも可能だ。ただし、召喚獣消去コンテントで消去できるのは、カードウィンドウの召喚獣欄に設定されている召喚獣だけ。決して万能ではない。

▼ キーコードの設定

 召喚獣のキーコード設定は意外に難しい。召喚獣絡みのキーコードの一番の基本は……

  • 召喚カードには、キーコード「召喚」を付ける
  • 召喚獣カードには、キーコード「召喚獣」を付ける

 ……となっている。スキル「光精召喚」「火精召喚」、召喚獣「フォウ」や「サラマンダー」などを調べてみてほしい。実に明快だ。
 では、スキル「練気弾」と召喚獣「気弾」の場合はどうだろう。スキルの方は問題ない。ちゃんとキーコード「召喚」が設定されている。一方、「気弾」はというと、キーコード「召喚獣」を持っていない。これはミスではない。意図的であることは、スキル「練硬気」と召喚獣「硬気功」の設定を見れば分かる。このことをどう解釈すればよいのだろう?

 一つの解釈として、「気弾は召喚獣システムを使っているが、実際は召喚獣ではなく、気の塊(?)なので、キーコード『召喚獣』が付いていない」というものが成り立つ。「居合斬りは、モーションとして神聖属性を持っているが、実際は神聖な力を使った攻撃ではないのでキーコード『神聖な攻撃』を持たない」というのと同じ理屈だ。
 だが、実際は召喚ではないスキル「練気弾」に、どうしてキーコード「召喚」が付いているのか? 残念ながら、その理由は分からない。キーコードが使用される状況を考えると、そのような設定の方が使いやすいと思ったのかもしれないし、気の弾を作ることを簡潔に表現する言葉が、思いつかなかったのかもしれない。
 今のところ、キーコード「召喚」を付けるか付けないかは、適当に判断するしかない。

 召喚獣とキーコードの問題でもう一つ注目してほしいのが、キーコード「遠距離攻撃」だ。召喚獣「気弾」に付いているのは当然として、召喚獣「ノーム」にも付いているのは意外かもしれない。カード解説によると、ノームの攻撃方法は「その巨大な石の腕で敵を攻撃する」となっているからだ。
 恐らく、術者から離れた相手を攻撃できることを「遠距離攻撃」と規定しているのだろう。よって、たいていの魔法攻撃や攻撃型召喚獣は、キーコード「遠距離攻撃」を持つことになる。

 その他キーコードの設定について知りたければ、「キーコード標準化計画」を訪れてほしい。

◆ 様々な活用方法

  • 矢や弾丸に見立てる
  • ペットに見立てる
  • ある状態を表現

 サラマンダーやウンディーネなどのように、召喚獣をまさしく召喚獣として利用したり、付帯能力化して再生能力や飛行能力を表現するのに使うのは、基本中の基本。召喚獣はそれ以外にも様々な用途に利用されている。
 たとえば、リューンで売っている「練気弾」は、召喚獣を気の弾丸に見立てているし、「練硬気」は気の鎧に見立てている。他にも、回避力に最大値ボーナスを設定し、一時的に空中に逃れた状態を表現したり、付帯能力化した召喚獣をペット代わりにしたりと、作り手の想像力次第で、召喚獣システムの利用法は無限に広がる。カード使用時イベントを絡めれば、さらにいろいろなことが表現できるようになるぞ。いろいろ工夫してみよう。
 筆者もあれこれ試してきたので、もしお持ちなら、シナリオ「押忍!男闘虎宿」や「見参!東方武芸団」、「機能性札見本市」などを解析してみてほしい。

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Copyright (C) Shu Koyama 1999-2001
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