転売禁止は有効?

「転売を禁止します」という出品をたまに見かける。不幸にして(?)落札してしまった場合その商品は未来永劫売却することはできないのであろうか。購入した以上、所有権は落札者にあるはずなのに、果たしてこの「転売禁止」とは法律的に意味のあることなのだろうか。

実は、オークションは「出品者は最高額を提示した入札者に売却します」、落札者は「この金額で購入します」、つまり、出品者は「売ります」、落札者は「買います」との意思の一致に基づく自由契約が成立していることになるのだ。この契約は公序良俗に反しない限り自由に行うことができるので、「転売禁止」も有効な特約となる。落札者は売買による所有権の取得に停止条件が付けられていることになり、その特約に反した場合は所有権を主張できないことになる。これは、どのように所有者が変わったかにより財産的価値が変動する、例えば、美術品や不動産などにこのような特約が付されていることも多くあることから容易に理解できるものと思う。

つまり、所有権の主張は契約条項を遵守してのことなのだから、オークションで「転売禁止」となっているものは転売ができないということになるのだ。

しかし、このように考えるとちょっとおかしいと思う方もいるだろう。なぜなら、オークションに出品するような状況下で、果たして所有者がどのように変わったかによる財産的価値が変動することまでを考えて「転売禁止」にしているかどうかである。オークションに出した時点で、出品者も既に転売しているわけであり、殆どの場合は「自分が売却した価格以上で売られたら嫌だ」という単純(身勝手?)な理由で「転売禁止」としているのではないだろうか。

とすると、先の契約は、財産的価値云々よりも「転売禁止」にしておけば自分が売却した価格以上で売られることもないだろう、ひいては嫌な思いをすることもないだろうという軽い気持ちでそうしているのであるし、また、落札者にしても「転売禁止」って書いているけど本当に「転売禁止」なの?と言った次元で考えているのであろう。(もちろん例外もあるが)

とすると、どっちもどっちで、果たして法律論議するに値するものであるかどうかである。

現実には、「転売禁止」と書かれている商品を転売したら、「何で転売したんだ」とのクレームと悪い評価が付くことが考えられるし、出品者にとっては入札者が減り、高値で落札してもらえなくなる可能性が高まる。

何れにしても、入札時には「転売禁止」の商品には近づかないようにし、出品者はくれぐれも「転売禁止」とはしないようにしたい。


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